そこは、とても入りにくい雑居ビルの中にある居心地のいい空間
気取らず、リーズナブルに飲める街として人気の三軒茶屋。
好きな人は好きですよね。
一方で、縁の無い人にとっては都心のわりに意外と未開の地かもしれません。
小さなお店がぎゅっと立ち並ぶ印象の強い三軒茶屋ですが、この街に超絶入りづらいBARがあるとの情報をキャッチ。
意外にも(?)そのお店、ひとり飲みしたい女性にも人気ということで、今回勇気を出して行ってみることにしました。
古びた雑居ビルのその先に、入るのをためらうドアがありました
「三軒茶屋」と聞くと、駅前にそびえ立つオレンジ色の「キャロットタワー」を思い浮かべる人もいるかもしれませんね。
世田谷線始発駅の上に建つこのキャロットタワーは、三軒茶屋の象徴と言ってもいいビルだと思います。
世田谷通りを挟んでこのキャロットタワーの正面にあるのは、三軒茶屋アーケード街です。
こちらはキャロットタワーとは打って変わって、昭和レトロ感いっぱい。
小さいお店が支えあうようにぎゅっと集まった、昔ながらの商店街です。
今回伺うBARがあるのは、この三軒茶屋アーケード街の一角に建つビルの中。
商店街の花屋さんの脇、人がすれ違うのもやっとな狭さの細い通りを入った先にあると言います。
正直、夜だったら入るのをかなりためらう脇道です。
脇道に入って数メートル先にあるのが「三元ビル」。
なんか、ヤバそうな気がしないでもない。。。
三元ビルの看板の中にありました。目指すべきBAR「tuakjam(トゥアックジャム)」の名前が。
場所は間違いなさそうです。
なんとも読みにくいこの名前は、「tuak」=お酒 「jam」=時間 という、インドネシア語の造語なのだそうです。
三元ビルの中に入ります。
奥にエレベーターがあり、その手前にtuakjam(トゥアックジャム)の手書き看板が置かれてました。
これが無かったら間違いなく迷子です。
レトロ感しかないビルのエレベーターに乗り込みます。
7階だと言うのでボタンを押してみますが、動いているのかどうかあまり感じられない。しかも階数表示も良く見えない。。。かなり怪しいです。
ガゴンという音と共に7階に到着、ドアが開きます。
少し奥に歩くと再び手書きの看板が。
その奥に、何かの事務所か?と思うようなドアがありました。
ドアは閉まっています。
「tuakjam(トゥアックジャム)」とは書かれているものの、中も見えず、開けるのはかなり勇気がいります。
怖いおにーさんが出てきたらどうしよう。。。
ですが今回は取材です。逃げるわけにはいきません。
勇気をもって開けてみます。
勇気を出してドアを開けると、居心地のよさそうなBARが
事務所のようなドアを開けると、そこはちゃんとお店でした。
まず目に飛び込んできたのは、窓からの景色。
高い建物もあるエリアなのに、妙に抜けが良く、首都高やまわりのビルを見渡すことができます。
お店の真ん中にあるのは、お酒の置かれた棚。
上段にはいろいろな種類の梅酒、下段には焼酎が並びます。
梅酒って日本酒みたいな瓶に入っていること、はじめて知りました。
この棚を挟んで手前にあるのがテーブル席。
奥にあるのがソファ席と、趣が全く違います。
その日の気分に合わせて席を選べそうです。
「こんにちは」
店内を見まわしていると、にこやかな笑顔の女性オーナー、木沢いずみさんが出迎えてくれました。
tuakjam(トゥアックジャム)をはじめたきっかけとは?
tuakjam(トゥアックジャム)オーナーの木沢いずみさんに、お話を伺いました。
「それにしてもわかりにくい場所にありますね」
「一度来てしまえば意外と駅から近いので来やすいですけど、最初は迷いますね」
「お店をオープンされてどのくらいになりますか?」
「16年になります」
「なぜこの場所にお店を出そうと?」
「三軒茶屋は小さなお店がたくさんある街なので、自分もやれると思ったというのが大きいですね。あとはこの窓からの景色ですね。これが気持ちよくてこの物件に一目惚れしました。ひとりでやるつもりだったので、あまり広すぎると回らないと思って、サイズ感もちょうどよかったです」
「そもそもどんなきっかけでお店をやろうと思ったんですか?」
「最初は航空会社に6年ほど勤めていて、その後レストランやBARで働いたんですが、その時に知り合ったお客さんの中に不動産や店舗デザインをやっている人がいて、自分でお店やってみたらと言われて勢いではじめました。若かったし、ダメならまたほかで働けばいいか、という感じで」
「いいですねぇ、男前で」
「当時は若さゆえの根拠のない自信もあって、看板も出しておらず、当時流行っていたmixiだけで宣伝してました。最初は前のお店の常連さんや友達が来てくれたんですが、だんだんと減っていって。。。それでビルの前に小さな看板を出したら、お客さんが来るようになりました。おかげさまでだんだんと口コミやご紹介も広がって、今に至ります」
こだわり梅酒と青森料理が楽しめるBAR
特別な食材が仕入れられた時の創作料理の一例
「青森ベビーホタテと蕪としいたけのレモンバター炒め」
(通常メニューではありません)
「このお店は梅酒と青森の料理が特徴なんですよね?」
「私が青森出身なので、青森の食材を使った創作料理をお出ししています。梅酒については自分がおいしいと思ったものを揃えています」
「おすすめの梅酒はどれになりますか?」
「女性におすすめなのはこのローズの梅酒ですね。梅酒のわりにそこまで甘くなく、度数も高くないので飲みやすいです。ロックやソーダ割、お湯割りがいいですね」
「これは青森で作られている梅酒です。お酒も水も梅も、全部青森で作られています。青森ではあまり梅酒がつくられていないので珍しいんですよ。あまり目にすることがないと思います」
「その日の気分でいろいろな梅酒が楽しめますね」
「おいしい梅酒はいろいろ揃えているんですが、常連さんはほぼ焼酎を飲んでます(笑)」
昔より増えた、おひとりさま女性
「お客さんの男女比はどんな感じですか?」
「オープンした頃は男性のお客さんしか来ませんでしたが、今では女性も増えてきました。女性ばかりになる日もあります。全体的には男女比は6:4ぐらいでしょうか」
「年齢層はどうですか?」
「年齢層で言うと、私と同年代の40歳前後が多い気がします。よく、学校の放課後のような雰囲気だとか言われます」
「お客さん同士もわきあいあいとしている感じですか?」
「そうですね。ここで知り合って友達になったり仕事を一緒にしたりするなどがありますね。結婚したカップルもたくさんいますが、その二人が子供を連れてきたりするのを見ると、すごくうれしくなりますね。このお店が無かったら生まれなかったんだなぁなんて思って(笑)」
「はじめて来るお客さんもいると思いますが、なにを思ってこの入りづらいお店に来るんでしょう?」
「特に女性一人のお客さんにはそれを聞いているんですけど、看板に書かれている文字や内容を見て、ひとりでも大丈夫そうだと思っていらっしゃる方が多いようですね。あとはインスタグラムを見て来たという人も増えましたね」
「おひとりさま女性は増えていますか?」
「ひとりで来られる女性はあきらかに増えましたね」
「女性がひとりで来たとき、木沢さんはどのように接客されるんですか?」
「まず席を選んでもらうんですけれど、ほかのお客さんと話をしたい人であればテーブル席、一人で飲みたい人には窓側のソファ席をご案内します」
「おひとりさま女性はどんなタイプが多い、とかありますか?」
「これが全然なくて、年齢も雰囲気もバラバラですね。共通点があるとすれば、この店に入ってくれる勇気を持っているということですね(笑)」
「木沢さんはそういった方たちに積極的に話しかけるんですか?」
「基本お話しできればとは思いますが、その方の雰囲気や様子などを見ながら接客するようにしています。一人でゆっくり飲みたい方もらっしゃるので」
「そういう木沢さんも、ひとりで知らないお店に行ったりするんですか?」
「実は私はそれができないんです。。。」
「そうなんですね? ちょっと意外な気がします」
木沢いずみさんからのメッセージ
最後に木沢さんから、メッセージをいただきました。
「私の家に遊びに来てもらうような気楽な感じでやっているお店です。皆さんくつろいでいらっしゃるので居心地はいいと思います。
1人で飲みたいとき、誰かと話したいときなどお気軽に。
女性店主なので安心していらしてください。
またお花や占いのワークショップ、フリーマーケットなどイベントもよくやっていますので、ぜひお越しください」
tuakjam(トゥアックジャム)は、友達のようなオーナーがいる超隠れ家BARでした。
インスタグラムでお店の雰囲気をチェックしたら、ぜひ勇気を出してそのドアを開けてみてくださいね。
tuakjam(トゥアックジャム) 基本情報
住所 | 東京都世田谷区三軒茶屋2-14-12 三元ビル703 |
最寄り駅 | 東急田園都市線・世田谷線「三軒茶屋駅」 |
営業時間 | 月曜~金曜 17:00~24:00 土曜 17:00〜24:00 |
定休日 | 日曜日 |
インスタグラム | tuakjam(トゥアックジャム) |
おひとりさまで何する?おひとりさまの楽しみ方おすすめ31選
「おひとりさま」の魅力に迫るとともに、あなたが一歩を踏み出せるように、おすすめの“おひとりさま”についてご紹介します。
「おひとりさま」を知れば、人生は2倍楽しい!